Wider den Alltag

Bruno Walterは誰もが知る大指揮者でユダヤ系であったために生まれたドイツを追われ、アメリカに亡命。晩年をアメリカで過ごし、当時最新鋭のステレオ録音が生まれた頃に珠玉のステレオ録音を残してくれました。ドイツにとどまっていたら命を奪われていたに相違ないと思います。ヴァルターさんご本人にとっては大変不本意であったであろうけれど、アメリカという新天地に移っていただいたおかげで今もなお素晴らしい音質でヨーロッパ特に、ウィーンを彷彿とさせるテンポ感とたゆたうメロディーのオーケストラ曲がステレオ録音で残っていることに対して運よくこの録音を聴いて味わえる幸せを思います。

アメリカに渡った後のヴァルターさんは英語で語るインタビューやリハーサルの現場の録音しか聞いたことがなかったのですが、今回、ヴァルターさんがドイツ語で語るセルフポートレートの録音を初めて耳にすることができました。正統派の綺麗なドイツ語で、心が洗われる思いをいたしました。

 Mein Name ist Bruno Walter, und ich bin 1876 in Berlin geboren, in einem Haus, in dem es nicht sehr üppig zuging. Denn meine Eltern waren einfache Leute. Meines Vaters Leidenschaft war die Lektüre und der Opernbesuch. Und schon sehr früh nahm er mich mit in die Kroll-Oper. Da habe ich oft musikalisch herrliche Aufführungen gehört, mit der grandiosen Koloratursopranistin Marcella Sembrich und Francisco d'Andrade - dem genialen Gestalter von Mozarts Don Giovanni. Max Slevogt hat ihn in dieser Glanzpartie ja mehrmals gemalt.

このように始まる彼のドイツ語のセルフポートレートは英語だからではなくドイツ語だからこそ私の心にずっしりと響き渡ります。アメリカの旧CBS、つまり今のSONYですが、このドイツ語録音を残していただいて嬉しい限りです。ヴァルターさんのCBS録音の全てをCD77枚にわたるセットにまとめて販売していただいたことは私の一生に一度の幸運だとつくづく思うのです。

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