Dissonanz allein macht keine Musik.
ルイジ・ボッケリーニはハイドンやモーツァルトと同時代のイタリアに生まれ、後半はスペインで活躍し62歳で没した作曲家です。チェロの名手としても有名です。
作風は表向き古典派でイタリア人らしく美しいメロディを朗々ときわ立たせつつ同時に物悲しさを織り込む感じに聞こえて私にはロマン派的要素をボッケリーニの曲の中に感じる瞬間がいくつもあり、耳をそばだてることがあります。
不協和音だけで成り立つ音楽ってひょっとしてあるのかもしれません。
私にとって勤務先の会社がやらかした大事件の対応に追われ、後ろ指指され、肉体的疲労というより精神が病んだ2000年、もう20年前ですが、帰宅してオーディオに浸ろうとすら思えなかったです。特に美しい音楽というか、心穏やかにするべく鳴らしたモーツァルトやハイドンなどの曲に余計にイライラを感じて、ベートーヴェンのもっとやる気を!、アドレナリンを出しなはれ!的音楽にはもっと反発して、不協和音がふんだんに盛り込まれた「春の祭典」やプロコフィエフ、ショスタコーヴィッチなどの「現状破壊」的な世界に癒されました。
今、清々しいボッケリーニの曲集を心からいいなぁと思って聴いているんです。これって今の私は過去になかったほど幸福の真っ只中にいるっていうことでしょうか。
年金生活者になってみて金の面で相当の縛りがある。つまり、金のかかる趣味に悦楽を感じているライフステージではない。世間から見ると、働くことを終えた老人は早く死んでくれ。っていう世間からの無言の圧力を痛烈に感じる毎日。もう光があたってるステージからはもう弾き出されたんだよ、あんた。そういう虚しさは至る所で感じます。
でも、新型コロナ感染症が現役世代全ての環境を一変させ、仕事、家庭そのものが無くなる、明日を思い描けない。そういう恐怖から比べるとまだぬるま湯に浸かっているのかも。
病気に罹ると重症化する恐ろしさを味わう「高齢者」に片足を踏み入れました。所詮、人は現在に振り回され、過去にとらわれ、未来など描くゆとりすら無い時代です。高齢者、若者、関係なく不協和音だらけの目と鼻の先の危険を回避しながら今を生きながらえる。
それしかないんですけどね。
なんか、愚痴しか書けない年齢になったっていうか。(笑)
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